会員の皆様へ
この度、東北関東大震災における状況で多数の死者が出たことにより、その遺体の処理を巡って土葬や土葬の会が一躍取り上げられました。戦後最大の災害で地震と津波と放射能の三重苦はさらに複合的な災害の様相を呈しています。会員の皆様で被害に遭われるような地域にお住まいの方はおられなかったようですが、安全なところに住むことの難しさを改めて感じさせられます。何十年も前から地球の人口過剰に警告が成されていた方からこの度の災害も「人口過剰に地球が耐えきれなくなっている。」とコメントがありました。この災害により、火葬場の被害や焼却が間に合わず燃料不足などから自治体も土葬を行うことにしたのですが、それらをめぐって会の状況も展開がありました。
1月元旦 土葬と火葬を研究されている方から、なぜ日本人は火葬が好きなのでしょう。との感想が年賀で寄せられました。
1月13日
朝日新聞に“異議あり”「土葬を復活して新たな死生観築け」として宗教学者の山折哲雄さんの記事が載っていた。以下抜粋
「死ねば火葬場で灰になる。当然のこのようなその積み重ねのうちに、人生80年時代を生きる日本人の死生観が揺らいできたと、宗教学者の山折哲雄さんは言う。日常、死を意識することがほとんどない現代に、葬送の持つ意味を再発見し、新たな死生観を見いだすため−−−山折さんは土葬の本格的復活を提言する。
要点として、「老人の孤独死や所在不明者の続出、無縁社会このような中にあってあらたな死生観を生み出さなければならない。
葬儀のあり方が死者を浄土や天国へ「送る」、から死者と「別れる」、告別式に変った。そして葬儀の多様化が起き、ついには葬儀をせずに病院から火葬場へ直送する直葬が増え東京では3割を占めこれは死体処理に近く、生ゴミ扱い。土葬は自然の1部としての人間、自然の循環の中にある人間という認識。共に生き共に死んで行く存在。火葬による年間の重油燃料は温室効果をもたらすので土葬の見直しを国策にしてもいい。」---など、抜粋ここまで。
後日、
神奈川県寒川の方から電話があり、自分は学者で火葬は絶対いやだ!
死んだら土に還るのが自然であるのに、それを火葬にした政府の責任は大きい、それで日本で土葬出来ないのならフランスへ行って土葬にしてもらうつもりだった、とおっしゃって、寒川の役所で尋ねると土葬の会と、土葬の復活を唱えた山折哲雄さんの新聞記事を教えてくれたそうです。それでお電話をいただいたのでした。
1月14日
神道埋葬を行われた神主さんより、朝日新聞の土葬復活の記事を見ましたか。との問い合わせをいただきました。このような記事は心強いですねと感想を述べておられました。
1月28日
大阪の方からお電話をいただきました。
先日、資料をお送りした方で、春になったら一度土葬の墓地を尋ねてみたいとおっしゃっていました。兵庫でも土葬の出来るところがあったがあまりにも費用が高いと言っていました。
1月31日
イスラム教徒の友人が亡くなったので土葬をしてやりたいが、山梨のイスラム墓地でも100万くらい掛かる、そんなにお金がないので何かいい方法がないかと問い合わせがありました。
土葬の会でもおよそそのくらい掛かります、と伝えましたがいずれ会でも安く出来るようにしたいものです。
2月10日
北陸の方から問い合わせを頂きました。
役所では埋葬許可証ではなく火葬許可証しか出していないのですが、それで土葬できるのでしょうか。と言われるので、最近の役所は火葬許可になっているところが多いとお思われますが、前例では火葬許可でもこちらでは土葬にしたことがあります、その際、こちらの埋葬場所の確認のため、火葬許可書を出した役所から北杜市の役所に確認を取ったそうです、とお答えしました。
3月7日
奈良県の方からお電話を頂きました。
娘さんからで、父が土葬にこだわっているので色々教えて下さいと言うことでした。
奈良では土葬が禁止になっているので奈良からでも土葬にできますか、その場合どうすればいいでしょうか。父は土葬が目的で輪廻転生は考えていないが焼かれると細胞が嫌がって逃げるので火葬は嫌なのだそうです、葬式は家族葬、または密葬をしょうと思い、遺体はどのように運ぶのか、また孫がいないのでお墓の管理料はどうなりますか、その場合料金はいくらですか、などです。
奈良で土葬は禁止されていないはずでただ受け入れ先がないだけです。それでこちらへは葬儀屋に運んで頂くか、もしくは会で引き取りに伺います。後のお墓の維持をされるご家族がおられないのであればそれなりの一括管理料の設定と、集合埋葬によって安い料金設定を予定しています、とお伝えしました。
3月11日
東北関東大震災が起きまして津波の被害などが発生しました。その日は外で作業していまして、ここに住んで11年ですが経験したことのない強い震度4くらいのそれも長く続く地震でした。すわ、東海沖かと思ってここがこれほど揺れるなら他では大変なことが起こっているに違いないと、すぐ家に戻りテレビを見て状況を知りました。
3月13日
大阪の30代の男性から、土葬可能な場所を探してします。
詳しい資料をお願いします。との連絡がありました。
3月14日
愛知県の方からお世話になっている人が土葬を望んでいるので頼まれて探しました。資料をお願いしますとの問い合わせを頂きました。
3月14日 宮城県庁から問い合わせがあり、この度の災害における被災死亡者のために、土葬の方法や場所について問い合わせを頂きました。
その後、土葬の会のホームページを確認したところ通常は1日10件ほどですがアクセス数がなんと200件を超えていました。
不思議に思い“土葬”で検索したところ厚生労働省が各自治体に埋葬手続きの特例措置を講じていて許可証がなくても死亡診断書があれば、火葬や土葬にしても良い。と報じていましたのでそれがアクセスの増加につながったようです。
数年前から政府では災害時の多量の遺体については火葬が間に合わなくなるので土葬の受け入れを各寺院や墓地などに打診をする。ということが伝えられていました。
3月14日
かねてより土葬の打診をしていた福島県にあるお寺に連絡を入れ今回の事態に備えるために土葬の受け入れを伺いました。すると、ちょうどその事に付いて検討しているところだと言うことで、夜になって電話をいただき受け入れを了承していただけました。
さっそく会としまして、ホームページ上に“緊急のお知らせ”としてこの度の、東北関東大震災における死亡者の土葬について。火葬における処理が間に合わない場合は土葬の会としまして提携先の寺院の協力を得る事が出来ました。
場所は福島県福島市渡利七色叔 天徳寺になりますので福島県の自治体が優先されますが状況によりましては近県の受け入れも検討いたします。まずはお問い合わせいただけますようお知らせいたします。と自治体向けに公示しました。
3月15日
このような事態に対応すべく、かねてよりお伝えしていた、お独りの埋葬で後のお墓を守るご家族がおられない場合の、一代限りの埋葬区画を小区画として管理料も含めた料金を、会が提携している“風の丘霊園”と急ぎ相談をしました。小区画の埋葬についても、今回の災害死亡者に付いても受け入れが出来るように要請し区画場所を決めおおむね了解を得、後日料金を設定することにしました。
3月15日
個人で“葬”という雑誌を出している女性から連絡があり、土葬の会の埋葬時に遺族の方が頭髪や、爪の一部を形見として要望する遺族はいますか、というのでそのような方はいません。ご遺族は土葬されたことによって安堵なさっているように思います、それが火葬との違いかもしれません、と伝えました。そして雑誌に掲載されることを了承しました。
3月16日
産経新聞から電話取材を受けました。土葬の受け入れの情報をホームページで見たそうで、土葬は出来るのですか、との一般的な疑問から、会の設立年や埋葬実績、会員数、問い合わせ状況、埋葬の手順や受け入れ寺院の確認及び連絡先、可能埋葬人数などの取材でした。
3月17日
風の丘霊園より個人区画料金設定のお知らせがありました。
個人の一代限りの区画1.5×2平方?bで永代使用料21万円、管理料年6,000円×50年=30万円、墓標石24万円
合同の場合 一代限りの区画1.5×2平方?bで永代使用料21万円、管理料年6,000円×50年=30万円、墓標石8万円(一区画に3人が埋葬されます)
個人区画は家族親族が埋葬後のお墓の維持が出来ない場合を想定して管理料を50年分一括にて納める形です。通常霊園では管理料が納められなくなりますと無縁墓として処理されます。遺骨の場合も掘り起こされて一カ所に集められることがあり得ます。
3月18日
会のホームページのアクセスが異常な数を示していました。1日でのアクセスがなんと9,446件でした。
その後、福島県の天徳寺さんからメールでサンケイ新聞の夕刊フジ見ましたとお知らせがありインターネットで確認すると軒並み土葬の会に関する記事が掲載されていました。それが高アクセスの原因でした。以下
「あふれる遺体…火葬場施設が全滅で「土葬の会」奔走
次々に見つかる遺体。その“行き先”もままならない状態だ
東日本大震災の死者数が数千人単位に及ぶ中、各地の安置所は泥だらけの遺体であふれているが、火葬施設はほぼ全滅しており、被災者の救援活動と並行して遺体の埋葬問題が地元自治体に重くのしかかっている。逼迫する事態を受け、関係各所では土葬に向けた動きも本格化し始めた。
警察庁によると、地元だけでなく全国から派遣された警察官計1050人が遺体の検視と身元確認にあたっているが、検視が追いつかない。遺体の冷蔵保存やドライアイスの調達は困難なため、身元が分からない場合でも、速やかに市区町村長に引き渡すよう指示しているという。
厚生労働省は阪神大震災にならい、死体検案書があれば許可証がなくても火葬、埋葬ができるよう14日付で被災地の自治体に通知。しかし、火葬場の多くが損壊し、燃料も足りないことから、全遺体の火葬は事実上不可能だ。このため、1000人以上の遺体を収容した宮城県南三陸町は、県災害対策本部に土葬の許可を要望。多数の遺体が見つかった山元町も、同じ要請を行ったという。
この動きに呼応し、全国から土葬の要請を受け付けている土葬の会(山梨県)は、東北各地の寺院に土葬の受け入れを呼びかけた。土葬を受け入れた場合の具体的な手順について、山野井英俊・土葬の会会長(77)は、「幅1メートル、長さ2メートル、深さ2メートル程度の大きさで穴を掘り、棺ごと埋葬したうえで、墓標を用意するのが一般的」と説明。そのうえで、「棺がなくても、装束や衣服のままの埋葬でも結構です。今回は、埋葬した皆さま全員のお名前を刻んだ慰霊碑を敷地内に建てることになるでしょう」と語る。
6434人が亡くなった阪神・淡路大震災で土葬はなかったが、数週間も安置されたままの遺体を前に、「早く荼毘に付してほしい」と自治体に懇願した遺族も多く、自ら九州の火葬場を手配したケースもあったという。遺体の搬送など解決すべき課題はまだまだ多いが、死者への尊厳と遺族感情を最優先したうえで、両者にとってひとまずの安寧の時が一刻も早く訪れることを願うばかりだ。 」 (訂正 山野井は65歳です)
同日、NHKより問い合わせを頂きました。現在の状況についてのことでしたがまだこちらへの土葬要請はありませんが、いまは火葬が優先されておりそれが間に合わなくなると土葬をするようになるでしょうとお答えしました。
3月19日
共同通信から土葬に関する問い合わせがありました。火葬から土葬の経緯やその理由、忌み嫌う理由、水源の汚染への懸念については、山野ではあらゆる動物などの死骸が朽ち果てており水道などの貯水池や川に流れ込みあるいは屎尿処理場の下流での汲み上げもして飲料水として飲んでいるのに土葬だけを問題視するのは変ですよね、と話しました。
3月20日
会員の方から、この度の災害で土葬の墓地が一杯になるかも知れないので自分の墓地を確保したいと申し入れを頂きました。現在は火葬を優先しているようでまだ土葬への申し入れは来ていないのでまだ大丈夫でしょう、先日設定した個人のみの区画が出来ましたのでその案内を送らせていただきます、とお伝えしました。
非常事態ではありますが、日本人が忘れていた土葬への注目が高まったことは今後の土葬見直しへの契機となるのではないでしょうか。
3月21日
アメリカのウオールストリートジャーナルの三重さんより取材がありました。
土葬の状況と火葬への推移の原因などと日本人がなぜこのように火葬化されている現状に平気なのかといったこと、またその確証を得たいということでしたので、以前土葬の会を尋ねて来て神道埋葬の実施の調査をされ今後の研究に反映させたい、と言われた東京住吉神社の方を紹介しました。
同日
先日、土葬受け入れを表明して頂いた福島のお寺の方が来られました。土葬の会の趣意などに同感したと言っていただき、ご本人もこの度の災害に遭われたそうで今後のことを土葬の会と相談したいとのことでした。福島市の十万劫という山の上にある天徳寺は広大な土地を有する墓地で現在住職は常在しておらず、土葬の受け入れや穴掘り埋葬などの一連の行程を土葬の会にお任せしたいとの申し入れを頂きました。また土葬の会に全面的に協力したいとも言っていただけました。会ではいずれ土葬用の墓地を造りたいと計画していましたが、まるでその夢が実現したような非常にありがたいお話です。
十万劫霊園 永代使用料 1区画2×3平方?bで30万円 管理料年6,000円
縁石工事料は未定です。
ここでも個人区画や一代限りの区画に伴う安価な設定をしたいと思いますので決まり次第お知らせしますがご要望などありましたらお知らせ下さい。状況が
落ち着いた頃、現地を訪問したいと思います。
以上臨時増刊号としてお届けします。